高木ぶんどう 〜福井県議会での仕事〜

I.最後の一般質問        
II.県議会での仕事 1. 条例づくり ・ 
2. 自然エネルギー促進議員連盟の発足
   
  3. 質問 (1) 本会議における一般質問  6月議会(2007/06/29)
9月議会(2007/09/19)
12月議会(2007/12/05)
質問答弁
質問答弁
質問
    (2) 予算特別委員会における一問一答 6月議会(2007/07/09)
9月議会(2007/10/03)
 
 

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3. 質問

(1) 本会議における一般質問

12月議会(2007年12月5日)

緑風会の高木ぶんどうでございます。6月議会はオオトリでしたが、今議会は最後から2番目のブービーであります。くじ運がいいのか悪いのか、よく分かりませんが、あともう少しでございますので、いましばらくご静聴のほどよろしくお願い申し上げます。

10月に上海に行ってまいりました。中国のめざましい成長ぶりをこの眼で確かめたいと思ったのであります。いまや、中国の存在抜きには、世界、日本、そして、本県の将来を考えることができません。グローバル時代を勝ち抜くには、本県は、これから中国とどう付き合っていけば良いのか、自分の頭で考えるために訪れたのであります。今回の上海訪問に当たっては、須藤産業労働部長、柿木国際・マーケット戦略課長、そして、上海事務所の湯川駐在員、銭ビジネス・コーディネーターに色々とお骨折りいただき、お陰で大変、有意義な出張にすることができました。まずもって、これら関係者の方に深くお礼を申し上げる次第であります。

「後発国の利益」を生かす中国

さて中国ですが、すべてが予想以上でありました。ここで、私が見聞したことを縷々申し上げることはいたしませんが、色々と考えさせられたことがありますので、いくつか私の考えを申し述べ、また、本県の対応につき質問させていただきます。

今回、私が最も感心したのは、中国のめざましい成長もさることながら、学べるものは世界中から学ぼうという中国の指導者の謙虚さと貪欲なまでの勉強熱心さであります。一般的に、「後発国の利益」と言われていますが、自分たちが後発国であることを自覚し、徹底的に先進国の成功例と失敗例から学んで、最短距離の国づくりを実現させています。例えば、上海から80キロほど離れたところにある蘇州工業園区は、いわゆる経済特区の工業団地であり、中国政府とシンガポール政府が共同で開発しているものですが、都市計画から税制、教育・福祉制度にいたるまで、すべてシンガポール政府のノウハウが活用されており、これはもう、工業団地というよりも、シンガポールをもう一つ中国の中に作っていると言っても過言ではありません。

もう一度、世界から学び直す

翻って、我々の姿勢を省みるに、もはや世界から学ぶものは何もないという驕りがないでしょうか。1989年に冷戦が終結してから、20年が経とうとしていますが、この間、世界は激変しました。ところが、日本はバブルの処理に追われて、約15年を失ったのであります。グローバル競争を勝ち抜かなければ生き残れない民間企業はようやく世界に復帰しつつありますが、国を指導すべき立場にある肝心の政治と行政はいまだに内向き志向から抜け出せていません。我々はもう一度、世界から学び直す謙虚さと進取の精神を取り戻すべきではないでしょうか。本県におきましても、かつて幕末期に、西川知事のいわば大先輩に当たる松平春嶽は、他藩に先駆けて、藩士の日下部太郎をアメリカのラトガース大学に留学させ、また、不幸にして日下部太郎が病死した後は、日下部の同級生であるウィリアム・グリフィスを福井藩に招聘して、世界の最新事情を藩士に学ばせたのであります。

そこで、西川知事にお伺いします。西川知事は頻繁に座ぶとん集会を開くなど、県民の声に耳を傾ける県政を展開しておられますが、言葉にならない県民の思いを実現する、言い換えれば、県民が感動するような県政を進めるためには、海外や国内の先進的な施策、いわゆるベストプラクティスに目を向けることが重要であります。そこで、本県においても「まちづくり」や「産業振興」、「農業政策」などの重要課題ごとに専門の職員チームを先進的な施策を行う海外や国内の自治体に派遣し、ベストプラクティスを学ばせる制度を設けてはいかがでしょうか。その成果は必ず施策の形で実現させることとすれば、県民の理解は得られるものと考えますが、知事の所見をお伺いします。

また、現在、県では中国語の研修は、上海事務所に勤務が決まった職員に限定して行っているとのことですが、今後、中国がますます重要な存在になることを考えれば、これに限らず、中国語ができる職員を養成することはこれからの県政にとって必要かと考えますが、知事の所見をお伺いします。

中国市場への進出

次に、本県、特に、本県の企業がこれから中国とどう付き合っていけば良いかという問題です。当初、中国はもっぱら安い労働力を生かした生産拠点として注目されていましたが、国内生産の急激な拡大に伴い、国内消費も拡大の一途にあり、現在では人口13億の巨大な市場としても注目されています。中国市場は今後も成長が予想される極めて有望な市場であるだけに、今や、世界中から様々な製品やサービスの売り込みが殺到しております。言い換えれば、世界で最も厳しい市場になりつつありますので、中国市場に参入するのは容易なことではありません。ただやみくもに中国に進出すれば良いというものではなく、中国の産業構造に合った戦略を立てる必要があります。

したがって、まず、中国の産業構造がどのようなものか理解する必要があるわけですが、今回の出張で、中国の産業構造には「垂直分裂」という特徴があることが分かりました。垂直分裂というのは垂直統合の逆の現象で、簡単に言うと、一社で何から何まで作らず、複数の企業が各部品を分業して作っている産業構造であります。具体的には、テレビを例にとりますと、液晶パネルやICチップを作っているのはシャープや松下などの日本のメーカーですが、こうした部品を組み立てて最終製品のテレビを作っているのは中国の家電メーカーなのであります。こうした産業構造が生まれたのは、外国企業に競争させて部品のコストを下げ、最終製品を生産する中国企業の競争力を高めようという中国政府の産業政策によるのですが、その結果、中国市場は、よほど強力なブランドを持たない限り、最終製品を売り込むのが難しい市場となっております。

しかし、逆に言えば、最終製品の売り込みにこだわらなければ、最終製品を生産する中国企業に部品や部材を売り込むことが可能なわけです。テレビの例でも、テレビ本体の日本のメーカーのシェアは軒並み4%以下ですが、中国の家電メーカー向けの液晶パネルやICチップの販売は好調なのであります。

そうしますと、本県の漆器や和紙なども、日本の商品をそのまま持ち込んでも、そう簡単に売れるものではありませんが、例えば、中国のインテリアメーカーと提携して、マンションの台所のキッチン・パネルを漆仕様にするとか、障子のある部屋を作るなどの工夫の余地があるのではないでしょうか。これは、まだ、私の思いつきの域を出ませんが、本県企業の中国市場進出を支援するに当っては、こうした「垂直分裂」と呼ばれる中国の産業構造に合った戦略を立てる必要があるし、また、そうした戦略を立てれば、本県企業にも様々な可能性が見えてくると考えますが、知事の所見をお伺いします。

県と市町村との関係

次に地方分権についてお伺いします。まず、いま、なぜ、地方分権が必要なのか、といういわゆる「そもそも論」から考えていきたいのですが、これまでの中央集権型のシステム、すなわち、国が地方のやることを考え、地方に押し付けるというやり方が時代に合わなくなってきているという事情があります。明治以来の中央集権型のシステムは、近代化と経済成長を効率的に達成するためには大きな成果を挙げてきましたが、地域は全国どこでも同じというわけではなく、それぞれ地域特有の事情と課題を抱えているのであります。こうした地域の多様な個性を生かし、また、地域の課題をきめ細かく解決していくためには、地域のあり方について自ら決定でき、地域の課題を自らの責任で解決する分権型の社会への転換が求められているということかと思います。そして、こうした分権型の社会を実現するために、平成12年度に成立した地方分権一括法により、国と地方との関係、また、都道府県と市町村との関係が、従来の上下主従の関係から対等独立の関係に変わったのであります。これは地方自治法にも明確に書かれており、このことは地方自治に造詣の深い西川知事は勿論ご存知のことと存じます。

ここで大事なのは、国と都道府県だけでなく、都道府県と市町村も、従来の上下主従の関係から対等独立の関係に変わったということであります。なぜならば、地域住民の暮らしに最も密着した市町村の自主性が尊重されなければ、地方分権は絵に描いた餅になってしまうからであります。

しかるに、本県における県と市町村の関係を見ますと、対等独立の関係というよりも、むしろ、上下主従の関係が強化されているという印象を受けるのであります。現に、県内にある9つの市のうち、実に6市、つまり3分の2の副市長が県庁から出向している現役の職員または元職員であります。すなわち、坂井市の小林副市長、越前市の福嶋副市長、鯖江市の吉村副市長、敦賀市の塚本副市長、小浜市の網本副市長、それに、福井市の東村前副市長の合計6名です。また、東村前副市長については、来る福井市長選挙に立候補を表明しています。

こうした県庁支配ともいうべき事態は、「市役所は県庁の出先なのか」「市の職員は県職員の部下なのか」と市の職員のやる気を著しく阻害していると多くの市の職員から聞いております。西川知事は、県の政策の意図が効率よく市町にまで行き渡るシステムを目指されているのかもしれませんが、これからの知識社会において、本当にこのような中央集権的なシステムがふさわしいのでしょうか。知識社会において地域を活性化するためには、県と市町村が対等独立の立場で切磋琢磨し、また、お互いに反対意見も含め、多様な意見を受け入れる柔軟性こそが求められているのではないでしょうか。知識社会、そして、分権型社会における県と市町村の関係についての知事の所見をお伺いします。

最後に、福井県議会の一員とさせていただいて、まだ、わずか7ヶ月余りですが、議会についての私の感想を述べさせていただきます。

議会活動の意味

議会はいまから2700年前に古代ギリシアのアテネで始まったものであります。当時、ギリシア人は人間の幸福とは永遠の命を得ることであり、そのためには、卓越した素晴らしい働きをして、後世にまで人々の記憶に残ることで、永遠の命を得ることができると考えていました。トロイの戦場に向かうアキレスは、戦場での英雄的な働きが後世にまで人々に語り継がれることで、永遠の命を得ることができると信じ、死をも恐れなかったのであります。また、ギリシア人がアテネでオリンピックを始めたのは、まさしく、偉大なスポーツ選手に人々の記憶に残る卓越した活躍の場を与えるためであります。では、戦場にも行かず、オリンピックにも出れない普通の市民たちはどうやって永遠の命を得ることができたのでしょうか。

このような普通の市民が幸福になるために考えられた制度こそ、議会なのであります。すべての市民が参加した当時のアテネ議会は、市民が永遠の命を得るための活躍の場と考えられていました。つまり、議会で活動することは、他の人々に自分がいかなる人間であるかを示すことである。そのとき、卓越した活動を示すことができれば、その人は後世にまで人々の記憶の中で生きることができると考えられたのであります。

今日では、政治とは利害の調整、それも圧倒的に経済的利害の調整に関わる現象とみなされているわけですが、古代ギリシアでは、政治の本質は、万人に見られ聞かれながら、言論によって自分がいかなる人間であるかを示すことにこそあると考えられていたのであります。

この7ヶ月間、福井県議会の一員として、この議場で先輩議員ならびに同僚議員の言論に触れ、こうした古代ギリシア以来の議会人としての誇りと伝統が福井県議会にも脈々と受け継がれていることを知り、大変、光栄に感じている次第であります。また、同時に、我々議員はその一挙手一投足がまさしく万人に見られ聞かれる存在であることを痛感しているのでありまして、だからこそ、現在の福井県民のみならず、将来の県民にも見られているという心構えで、政治活動を行っていきたいと考えているのであります。

最後に、今後とも議会の皆様が卓越した議会活動を継続されることを心よりお祈り申し上げて、私の一般質問を終わらせていただきます。ご静聴、誠に有難うございました。

 

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最後の挑戦 一問一答 マニフェスト
     
 
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