ブンブン日記 2003年 10月
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10月31日(金)

一時期衰えていた読書意欲がまた戻ってきた。本屋に出かけると、面白そうな本が並んでいるのでつい手が出てしまう。最近、面白かったのは中公新書の「英語達人列伝」。新渡戸稲造、岡倉天心、鈴木大拙など英語の達人と言われた人たちの英語修業ぶりを描いている。外務省で働いている頃、「最近の若い人たちの英語はなっていない」とよく叱られたが、退官された大先輩の気品ある英語に接して圧倒されたことが何度もある。達人たちの足跡をたどると語学の才能を云々する以前に自らの努力が全然足りないことを思い知らされる。

 

10月30日(木)

米国の7−9月期の実質成長率が7.2%と予想以上の伸びを見せた。これは1990年代後半のITバブル期を上回るもので、19年半ぶりの高さだという。これでアメリカ経済がITバブル崩壊に伴う長い調整過程から抜け出したのならば、世界中がほっと一息である。なぜなら、いまや世界経済がアメリカ経済に依存しているだけでなく、アメリカ経済が悪化して再選のためにはなりふり構わないブッシュ政権に戦争カードという切り札しか残らなかったら、支持率上昇を狙って北朝鮮を先制攻撃する可能性が一気に高まるからだ。好むと好まざるとにかかわらず、日本の経済も安全もアメリカ次第である。アメリカ経済の動向から目を離せない。

 

10月29日(水)

円が3年ぶりに一時107円台につけた。日本の貿易収支は恒常的に対米黒字なので放っておけば円高になる。しかし、円高になると対米輸出競争力が落ちるので、これまで日銀が介入して円安誘導に務めてきた。アメリカもこうした日本の為替介入を容認してきたが、大統領選挙を来年に控えて自国の製造業を支援するため、日本の為替介入に待ったをかけ円高誘導で日本からの輸出を減らす必要が出てきたのだろう。その一方で、日銀の円売りでアメリカが買いためた円で日本株を買って株価を上げるというシナリオらしい。これで本当に景気が良くなるのなら結構な話だが、公共事業費の削減と中国経済の急成長であえぐ地方経済の実態は何一つ変っていない。株高と円高の背後にあるものは何か見極める必要がある。

 

10月28日(火)

衆議院選挙が公示された。今回の選挙は「政権選択選挙」と呼ばれている。選挙制度の改正からちょうど10年。ようやく、小選挙区制度の導入の狙いである二大政党対決の構図になってきた。今後、政界は二大政党制になるのか。二大政党制が定着するようになると、「福井丸かじり」の中でも議論されているが、無党派候補の役割はなくなるのか。そもそも、なぜ、無党派が増えてきたかというと、既存政党の政策に飽き足りない有権者が増えたからだ。したがって、問題は政党がどれだけ有権者の民意を汲み取れるかである。例えば、福井県にとって重要な問題である原発問題を例にとると、自民党も民主党も原発推進である。なぜかというと、自民党は電力業界の、民主党は電力労組の影響下にあるからだ。すると、二大政党制になっても、福井県民にとっては「原発推進」以外の選択肢はないことになるが、これで福井県民の民意が反映されていると言えるのだろうか。現在、こうした政党によって汲み取られていない民意をうまくつかんでいるのが先進的な無党派の自治体首長であろう。恐らく、ここ当分は、無党派首長が野心的な政策を実験し、その中から成功した政策を二大政党が取り込むという形で二大政党制が成長していくのではないだろうか。

 

10月27日(月)

日本シリーズ第7戦を見る。全国の阪神ファンの悲鳴が聞こえるような試合だった。今回の日本シリーズはホーム球場で戦ったチームが必ず勝つという面白い展開だったが、ファンの熱狂的な声援が選手に与える力については選挙で同じような経験をしているのでよく分かる。選手も候補者もファンや支持者から「気」をもらうのだ。逆に、相手チームのホーム球場や対立候補の強い地域に行くと「気」を奪われてしまう。まさしく、人気は元気の素だ。しかし、人気ほど移り気なものはない。だからこそ、選手にとっては変らないファンが、候補者にとっては変らない支持者がかけがえのない存在なのである。

 

10月26日(日)

朝食を取りながら窓の外を見ると、海辺の砂浜でショベルカーが砂を掘っていた。「海」旅館のご主人の上山さんに「あれは何をしているんですか?」と聞いたら、「国は金がない、金がないと言うけど、砂を掘って金を埋めているんですよ。水害の心配など何もないのに、自然の砂浜の代わりにコンクリートの堤防を作ろうとしている。自然を破壊してでも公共工事をしないと村が食っていけないそうだ」と怒り心頭だった。こうして美しい越前海岸がコンクリートで埋められていく。コンクリートで海岸を埋めている間はお金が回るが、コンクリートで埋まった海岸を訪れる人は誰もいなくなる。国破れて(破産して)山河も残らなかったら我々は子供たちに何を残すのか。夜、福井市内の常山酒造の蔵で開かれた民謡歌手の恩地美佳さんの「うたがたり」に出席。

 

10月25日(土)

福井西別院で開かれた中央仏教学院通信教育の「福井地区つどいの会」総会に出席。仏教を系統的に学ぶために今年から中央仏教学院の通信教育を受けることにした。卒業するのに3年かかる。「福井地区つどいの会」は、独学ではくじけがちな学習意欲の高揚と親睦を図るために作られたものだそうだ。お寺関係の人が多いのかと思っていたら、「定年退職を迎えて何か打ち込めるものが欲しかった」とか、「お寺さんの話を聞くのが好きでもっと勉強してみようと思った」とか、お寺とは無関係で高齢の方が多いのでびっくりした。夕方、越廼村の「海」旅館に向かう。後援会の有志で一晩飲み明かそうという企画である。旅館のご主人が当日朝に取ってきた魚をアテに、6時半から宴会開始。選挙中に応援していただいた村の方にもご参加いただいた。一次会が終わった後は、一番大きな部屋で二次会。僕は12時過ぎに退散したが、皆さん、3時頃まで飲んでいたとか。波の音を聞きながら床に就く。

 

10月24日(金)

夜、湊公民館で「ぶんどう塾」。「ふくいチャイルドライン」を開設している福井県子どもNPOセンター理事長の岸田美枝子さんのお話を伺った。「チャイルドライン」というのは、悩みや誰にも言えない話を子供たちが自由に話せるように開設した子供専用電話で、毎週月曜日の午後4時から10時まで開いている。本家イギリスのチャイルドラインは年中無休で24時間つながるそうだ。受ける電話の7割が雑談だそうだが、子供たちとの会話の中から子供たちのニーズをつかんで、子供たちと遊べる大人を育成する「プレイリーダー養成講座」や赤ちゃんをベイビーシットできる10代を育成する「10代のファミリーサポーター養成講座」などのプログラムを創り出しているところが素晴らしい。岸田さんのお話を伺っていて感心したのは、NPO活動を続けていくために財務面や人事面で様々な工夫をされていることだ。NPOとは営利を目的としない団体のことだが、人を動かすのに利害関係を持ち込めないだけに、NPOを運営するのは営利を目的とする企業を経営する以上に難しい面がある。NPOが実績を上げるには岸田さんのような理念と実務能力を兼ね備えたプロの経営者が必要である。

 

10月23日(木)

中曽根元首相が小泉首相の引退要請を拒否した。自民党執行部から「終身比例一位」の約束を得ている中曽根元首相に理があるにしても、偉大な保守政治家の身の処し方としてはちょっと寂しい気がする。小泉首相は「中曽根元首相なら、どんな地位にあっても国内外で発言が注目される」として説得を試みているが、その通りではないか。欧米では引退後も発言が傾聴される政治家のことを「エルダーステイツマン」と呼ぶ。イギリスの詩人であり劇作家であるTSエリオットの同名の戯曲から取った呼称であるが、例えば故ニクソン元米大統領はウォーターゲート事件で辞任という不名誉な経歴にもかかわらず晩年の著作・政治活動により「エルダーステイツマン」として完全に名誉を回復。歴代政権の外交政策に大きな影響を与えた。日本でも吉田茂元首相や岸信介元首相などは引退後も亡くなるまでその影響力は衰えを見せず、日本を代表する「エルダーステイツマン」だったと言えるだろう。中曽根元首相は実績、見識のいずれも群を抜いた政治家であり、引き際についても「さすが、中曽根さん」というお手本を示して欲しかった。

 

10月22日(水)

事務所の近くの「まさ季」でいつもの日替わり定食を食べて外に出ると隣にお洒落な喫茶店が出来ていた。好奇心に駆られて覗いてみたら、若い店主さんが「ギャラリーカフェです」と店内を案内してくれた。福井県には結構、自分で事業を立ち上げる若者が増えてきているようだ。ベンチャービジネスは何もIT産業である必要はない。昔ながらの業種でも、自ら事業を立ち上げるところに大きな意味がある。長引く不況の中で、若者の間で起業家精神が育ち始めているとしたら嬉しいことだ。

 

10月21日(火)

小泉首相が「日本道路公団の藤井総裁の解任と後任選びは急がない」と方針転換した。藤井総裁が率いる「道路ムラ」との落とし所を探るのにもう少し時間がかかるということだろう。百戦錬磨の藤井総裁に一本取られた形だ。今回の騒動で、「道路ムラ」の権力基盤がいかに強固であるかが浮き彫りになった。しかし、強固な権力基盤を持っているのは「道路ムラ」だけではない。「農地改良ムラ」にも「原子力ムラ」にも、「道路ムラ」に負けない強固な権力基盤とこれを支える利権構造がある。小泉首相は「道路ムラ」と「郵便ムラ」の改革に躍起だが、いまだ手付かず状態のムラはまだ数多く残っている。構造改革の道程はまだまだ遠いと言わざるを得ない。

 

10月20日(月)

松井がワールドシリーズ第2戦で3ランを打った。また、前日、丸山が米ゴルフツアーで3勝目を挙げた。いずれも凄いことだと思う。アメリカでこうした活躍をするのがなぜ凄いかというと、アメリカには世界中からその道を極めた人が集まってくるからだ。大リーグの覇者を決める決勝戦がワールドシリーズと呼ばれるのもうなずける。日本がアメリカを抜くのも近いと言われた80年代にはこうした日本人選手はいなかった。いなかったのではなくて、挑戦しなかっただけかも知れないが、日本人の集団的な力が相対的に落ちてきたときに、飛びぬけた力量を発揮する個人がどんどん現れてきたのは頼もしい。スポーツの世界だけでなく、他の分野でもまだ本来の力を発揮していない人が一杯いるはずだ。日本社会は嫉妬の強い社会なので、周りに頭を抑えられているのかも知れない。様々な分野でまだ見ぬスターが登場するのを期待したい。

 

10月19日(日)

週刊文春に掲載されている藤井治芳・日本道路公団総裁の独占インタビューを読んだ。解任に向けた聴聞の際の回答と併せて読むと、藤井総裁がどんな人物であるか分かってくる。まず、この人の言うことはそれなりに筋が通っている。石原・国土交通相がテレビで語っているようなデタラメな人物ではない。日本社会には、道路ムラ、農地改良ムラ、原子力ムラなど様々なムラ社会があり、そこにはそこでしか通用しない「ムラの常識」がある。藤井総裁は道路「ムラの常識」を守る長老のような存在らしい。道路ムラの住民にとっては実に頼もしい存在だろう。しかし、自分の「ムラの常識」が絶対正しいと信じているところが厄介だ。藤井総裁は、「行政の中立性と公平性を守るために、不当な政治圧力とは徹底的に戦う」と言っているが、これは「『行政の中立性と公平性』という名の下に、どこまでも自分の『ムラの常識』を押し通していく」ということだ。道路公団の民営化をめぐって、「内閣の常識」と「ムラの常識」が異なるときに、「内閣の常識」を優先させるのは議会制民主主義の下では当たり前のことだ。石原・国土交通相が内閣の方針に従わない藤井総裁に辞任を求めるのは当然だが、辞任の求め方がまずかった。小泉首相の指示なのだろうが、民主党の合併大会が行われる日に意見を聴取して、一方的に辞任を求めたり、会談の内容をテレビで暴露したりするなど、いたずらに「政治の優位性」を演出するのは、「ムラの常識」を説得できない「政治の空疎性」を露呈することになる。政治家はムラの住民を無理やり悪者に仕立てるのでなく、「ムラの常識」を超える「世間の常識」を分かりやすく示して、国民もムラの住民も納得できる「政治の優位性」を発揮して欲しい。

 

10月18日(土)

素晴らしい秋日和。どこかに出かけようと思っているうちに一日が過ぎてしまった。日本シリーズ第一戦をテレビ観戦する。一点を追う接戦だったが、阪神のサヨナラ負け。小河さんの悔しそうな顔が目に浮かぶ。

 

10月17日(金)

4月の知事選挙のときに開設されて賑わっていたサイト「選挙の丸かじり」が「福井の丸かじり」(www.fukuitaro.jp)として新装オープンした。衆議院選挙のコーナーがあり、早速、覗いてみたら、一番賑わっているのが「一区有権者意見交換の場」であり、その次が「二区有権者意見交換の場」で、「三区有権者意見交換の場」では、まだ、一人しか投稿がなかった。俗に「一区現象」という言葉がある位、各都道府県の一区には共通して首都圏近郊と同じような投票行動が見られるが、この傾向を反映するように一区にはネット人口も多いのかも知れない。ところで、どの候補者もホームページを開設するのは当たり前になってきているが、告示後の選挙期間中はまだ更新禁止なのだろうか。それともネット選挙は解禁になったのか。日本社会には時代の変化についていけない馬鹿げた規制がまだまだある。

 

10月16日(木)

夜、福井県職員会館で「ぶんどう塾」。美浜町の松下照幸・町会議員に「電力自由化、新エネルギー、敦賀3・4号機の動静」と題して、エネルギーをめぐる動向について話していただいた。これまでは9つの電力会社が独占的に電力を供給してきたが、電力自由化の流れの中で、神戸製鋼や大阪ガス、さらには、トヨタやホンダまでもが電力市場に進出しようとしている。そうした中で、今後、コスト高の原発建設は難しくなるという話だった。原発推進は国策という偏った話ばかり聞かされている方には新鮮に聞こえたようだ。「今日の話は良かった」という感想が圧倒的だった。これだけ自由に情報を得られる時代になっても、時の権力によって情報は恣意的に操作される。不偏不党の情報などというものはあり得ないにしても、「ぶんどう塾」では業界よりも市民の視点に立った情報を提供していきたい。

 

10月15日(水)

中国が有人宇宙船の打ち上げに成功した。1961年に旧ソ連(ロシア)と米国が相次いで成功して以来三カ国目だ。これで中国は米ロに次ぐ世界三番目の「宇宙大国」になったことになる。次に中国が目指すのは「軍事大国」と「経済大国」であり、ひいては、アメリカと肩を並べる「超大国」である。こうなってくると、隣国の日本としては、居心地が悪くなってくる。中国が国威を発揚すればするほど、日本人のナショナリズムが刺戟される。いずれ日本は中国の10%国家(人口も経済力も軍事力も何でも10%程度の国力)になると大前研一氏が予言しているが、日本人がそうした地位に安んじることができるだろうか。日本が内政だけでなく外交面でも難しい局面に立たされつつあることを象徴する出来事ではないか。

 

10月14日(火)

衆院福井2区で出馬表明されていた牧野隆守・前衆議院議員(77)が突然、不出馬を表明された。直前まで、「無所属でも出馬する」と強い意欲を見せておられたと聞くが、世代交代の波に抗しきれなかったのだろうか。牧野さんの不出馬を受けて、平泉渉・元衆議院議員(73)と山本拓・元衆議院議員(51)の間で自民党の公認争いが行われることになるが、どちらになっても清新さに欠けるのは否めない。一方、衆院福井1区では、民主党が党本部職員の本郷史剛さん(32)を公認候補として擁立することを決めた。本郷さんは大阪府出身で福井県にゆかりがなく、民主党の人材不足とも取れるが、それだけ民主党には無名の新人に与えられるチャンスが多いとも言える。政党には政策を立案するという役割の他に、人材を発掘して政界に送り出すという役割がある。自民党で世代交代が進んでいると言っても、後継者はほとんど2世だ。その点、民主党の人材登用システムの方がうまく機能していると言える。こうした人材登用システムの優劣が党勢の優劣にどう結び付いていくのか。結論が出るには10年単位の時間が必要なのだろう。

 

10月13日(月)

体育の日。しかし、ピンとこない。体育の日は、やはり、10月10日でないとしっくりこない。成人の日や体育の日がこんな風に月曜日になったのは2000年からである。80年代に日本経済が絶好調の頃、「日本人は働き過ぎだ」という海外からの批判をかわすために、せっせと休日を増やす政策の一環として行われたものだろう。その甲斐あって、日本の休祭日は急激に増えた。アメリカの法律事務所で働いてみて、アメリカの祝祭日が少ないのに驚いた。有給休暇のバケーションはきっちり取らせてくれるが、土日以外に休めるときはほとんどない。日本の場合はこれと逆で、有給休暇を奨励してもなかなか実効があがらないので、国の方で強制的に休日を増やしたということか。しかし、休日が増えた途端に、もっと働かなければ食えなくなってきたのは皮肉だ。政治・行政のやることはいつもワンテンポずれている。

 

10月12日(日)

午前10時から「小次郎の里」で平成会主催のバーベキュー。一時、小雨に降られたものの、全体的には晴天に恵まれた。選挙以来、初めてお目にかかる方も多数お見えになった。平成会も設立以来5年目になるが、どんな会でも維持・運営していくのは人知れぬ苦労がつきまとう。このバーベキューにしても、前日、準備に当たった方が滋賀県まで買い物に行かれたと聞く。縁の下の力持ちがいないと組織は動かない。平成会にもそんな人を得たのは有難い。

 

10月11日(土)

来週の木曜日に開かれる「ぶんどう塾」を知らせるチラシのポスティングをする。ポスティングというのはチラシ配りのことだが、軒並み歩きながら郵便受けに投函していく。僕の担当は自宅付近の田原町、及びその周辺の130軒ほどで、約一時間で終わった。ポスティングもやってみると結構、楽しい。今日は一人で歩いたが、次回はもっと大勢で歩きたい。

 

10月10日(金)

衆議院が解散された。この日のテレビは解散関連のニュースばかりだった。福田官房長官が恭しく「詔書」を衆議院議長に手渡して、議長が読み上げる場面があったが、あれは衆議院を解散する天皇陛下の「詔書」である。日本国憲法では、衆議院を解散するのは首相ではない。天皇陛下なのである。もっとも、天皇陛下は「内閣の助言と承認により」衆議院を解散するので、実質的に解散権を握っているのは首相である。また、小泉首相が議員バッジを外す映像が流れていた。なるほど、衆議院が解散されるわけだから、小泉首相は衆議院議員でなくなるわけだ。「えっ、それでも、総理大臣を続けることができるの?」「大臣が全員、衆議院議員じゃなくなったら、内閣はどうなるのだろう?」と疑問に思われた方がいらっしゃるのではないか。憲法第六十九条に、「内閣は、・・・衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」(つまり、衆議院が解散されたら、内閣は総辞職しなくて良い)とあり、第七十条に、「・・・衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職をしなければならない」とあるので、2つの条文を合わせて解釈すると、衆議院が解散しても内閣は存続し、総選挙後に国会が召集されたときに総辞職するということになる。憲法のことなどいつもは忘れているが、久しぶりに憲法のことを思い出した。

 

10月9日(木)

あと一ヶ月で衆議院選挙の投票日だというのにあまり世論の盛り上がりが感じられないのは、今回、自分が直接、選挙に関わっていないためだろうか。自分が立候補しているときは、世の中全体が選挙に関心を持っているような錯覚に陥りがちだが、投票日の3日前まで誰が出ているのかも分からないというのが普通の人の感覚かも知れない。それにしても、今回の衆議院選挙。自由党との合併後の民主党と自民党との二大政党対決という触れ込みだが、福井県では3区を除いて、この対立構図がさっぱり見えてこない。1区は、笹木竜三さんを推薦するかと見られていた民主党がここにいたって別の公認候補を擁立するというし、2区は5人の候補者が乱立していて、一体、誰が誰と何を争っているのか分からない状況だ。これは福井県だけの状況なのか、それとも他県でも起きていることなのか。最終的には11月9日の結果を見てみないと分からないが、いまの状況を見ていると、二大政党制への道程はまだまだあるようだ。

 

10月8日(水)

カリフォルニア州知事選挙で俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーが大差で当選した。オーストリアで警察官の息子として生まれた青年が19歳で単身渡米。映画俳優としてトップスターの地位を揺るぎないものにしてから、カリフォルニア州知事の座を射止めるというアメリカン・ドリームを実現した。シュワルツェネッガーの政治的野心は有名で、ケネディ元大統領の一族のマリア・シュライバーと結婚したのもそのためと見られている。二流の俳優だったロナルド・レーガンがカリフォルニア州知事を経て大統領になったのだから、トップスターのシュワルツェネッガーが次に大統領を狙っても何の不思議もないが、確か、アメリカ合衆国憲法にはアメリカで生まれた者でなければ大統領になれないという規定があったと記憶している。しかし、憲法改正も含めて「何でもあり」なのがアメリカ社会である。シュワルツェネッガーのアメリカン・ドリームの行方を見届けたい。

 

10月7日(火)

夜、「ぶんどう塾」会議。4年前に始まった「ぶんどう塾」は、いまでは「ぶんどう塾」を運営するための「ぶんどう塾」委員会ができるまでになった。その「ぶんどう塾」委員会の打ち合わせが「ぶんどう塾」会議である。選挙期間中はもっぱら僕が自らのビジョンを語ってきたが、6月に再開されてからは様々な分野で活躍している人をお招きして得意分野について話してもらい、僕はコーディネーターという役回りを演じている。この方が色々な話が聞けて面白いし、僕も勉強になる。10月16日に県の職員会館で開かれる次回には、原発が立地する美浜町の町会議員松下照幸氏をお迎えして、原発の経済性や原発に替わる新エネルギーについて勉強していく。ご関心のある方は、ぜひ、ご参加ください。

 

10月6日(月)

若狭湾観光連盟の企画でJR小浜駅に大阪から初めて特急サンダーバードが乗り入れたそうだ。「そうか、その手があったか」という感じだ。今回、若狭路博で小浜に行った方は実感されたことと思うが、陸の孤島と呼ばれるくらい小浜への交通の便は悪い。大阪から来ようと思うと、湖西線で滋賀県の近江今津で下車。そこから車で約1時間の行程となる。上中町と近江今津の間に若狭湾琵琶湖快速鉄道を走らせようというのは若狭人の悲願である。しかし、約450億円の建設費用がなかなか捻出できない。今年3月にJR小浜線が電化したことで、敦賀経由で特急サンダーバードが乗り入れることが可能になったわけだ。もっとも、大阪から小浜まで3時間10分というのは時間のかかり過ぎだ。現在、単線の小浜線を複線化することで時間短縮は可能なのだろうか。大阪から敦賀経由で小浜まで2時間位で行けるようになると、複線化の費用がいくらかかるかにもよるが、上中・今津間に新線を作る代案として小浜線の複線化という話が出てくるだろう。検討に値するのではないか。夜、福井市の事務所で「ぶんどう塾」。田園知識圏構想について語る。

 

10月5日(日)

民主党と自由党が正式に合併した。同時に、マニフェスト(政権公約)が発表された。つい先日、「政党が何を言っているかには関心がない」と書いたばかりだが、その前言をここで撤回しておこう。まず、「7つの重点政策」の中の「3.川辺側ダム・諫早干拓・吉野川可動堰計画の即時中止」が目に付く。「自然破壊型の公共事業を改め、自然回復型の新しい公共事業への転換を進めます」というのは、僕が知事選で主張していたことと同じだ。簡単に言うと、環境問題、中でも、普通の生活者にとって大切な環境問題を前面に打ち出してきた。業界団体の利益ではなく、生活者の利益を代表しますというメッセージだ。他にも、「6.30人学級制の実現と学校5日制の見直し」は小中学生を子に持つ30代の生活者をターゲットにしており、田中康夫長野県知事や松沢成文神奈川県知事の影響が見て取れる。その一方で、「2.凶悪犯罪への罰則強化と警察官の増員」や「つよい日本をつくる」というキャッチコピーなど保守層への目配りもきちんとなされている。小泉再選、安倍幹事長という自民党の挑戦に対する民主党の見事な応戦と評価できる。次は、自民党がこの挑発にどう対応するかが焦点になる。だんだん面白くなってきた。

 

10月4日(土)

今春、静岡県の富士宮市長選挙に挑戦した深沢りゅうすけさん(40)の訪問を受ける。福井市で開かれている青年会議所の全国大会に出席する機会を利用して僕に会いに来てくれたということだ。インターネットのおかげで、遠く離れた人にも僕の考えを知ってもらえていることを実感する。首長選挙に挑戦する若い人が増えてきたのは嬉しい。まったく変らないように見えても、日本は少しずつ変わりだしているのかも知れない。夜、大野市の元町会館で大野支部会議。大野市はもう肌寒かった。

 

10月3日(金)

突然、政党関係者が訪ねて来た。僕の政治的スタンスが知りたいとのことだった。いつもの通り、「僕は無党派です。あえて言えば、県民党です」と答えておいたが、「政党で言えば、どの政党に近いですか?」という質問にはいつも答えに苦しむ。世界が西側陣営と東側陣営に分かれていた冷戦時代には、保守か革新かという色分けも意味があったが、10年以上も前に冷戦が終わった現在では、保守か革新かという色分けは意味がない。現在の日本の政治状況を敢えて図式化すると、改革勢力と抵抗勢力という区分けが一番分かりやすいが、民主党の中にも抵抗勢力がいるし、自民党の中にも改革勢力がいるからややこしい。はっきり言って、どの政党が何を言っているかにはあまり関心がない。我々が直面している2つの危機(経済の危機と心の危機)をどう克服するか。それが問題なのである。

 

10月2日(木)

福井市議会が、市議会議員が公務で利用したタクシー料金の公費支出を停止した。これまでは、市議一人当たり年間180万円の政務調査費から払われており、昨年度公費で支払われたタクシー料金は約282万円だった。今回、公費支出が停止されることになったのは、市民オンブズマン福井が今年8月、市議名と行き先を記した乗車券などの開示を求めたことによるものだ。田辺義輝議長は「議員個人の政治活動に関する情報が含まれていると考えられる」との理由で非開示としたが、結局、公費支出を停止した。議会政務調査費の透明化を求める市民オンブズマン福井の活動を、県議・市議ともに苦々しいと感じていると伝えられるが、これを機会に襟を正して欲しいものだ。行政改革の必要性が声高に叫ばれるが、行政改革を進めるためには議会改革も同時に進める必要がある。

 

10月1日(水)

10月1日付で福井新聞の紙面が変わった。福井県の政治・経済ニュースが2、3面のすべてを埋めるようになった。いままでの2、3面は全国版のニュースだった。地元新聞が地元ニュースを前面に打ち出すことで、より地元新聞らしくなった。この傾向はすでにテレビなどの他のメディアでも始まっている。ところで、全国版のニュースというのは、共同通信や時事通信などの通信社が配信するもので地元紙の記者が書いたものではない。政治・行政の世界でも、メディアの世界でも、東京で作られたものを地方に流すというのがこれまでのパターンだった。地元メディアが自前で作ったニュースを積極的に発信するのは、メディアの世界における地方分権の動きと言っても良い。地方が価値を創り出す力を身につけなければ、日本社会の再生はない。僕の田園知識圏構想もそうした発想に基づくものだ。福井新聞の取り組みを歓迎したい。


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