ブンブン日記 2003年 12月
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12月31日(水)

越美北線に乗って福井市に戻る。越美北線に乗るのは初めてである。和泉村から福井市まで所要時間は1時間20分、運賃は1110円だった。和泉村から大野市まではいくつもトンネルを抜けていく。終点の福井市までほとんど渓流に沿って走っているので、景色がとても美しい。たまには電車で動くのもいいものだ。

 

12月30日(火)

和泉村にある知人の別荘に出かける。和泉村はもう雪の中に埋もれていた。雪が降るのをぼんやり眺めたり、音楽を聞いたりして、のんびり過ごす。

 

12月29日(月)

年賀会の挨拶を考えているが、なかなかはかどらない。夜、友人夫婦と食事。

 

12月28日(日)

福井市内のテアトルサンクで、「ザ・ラスト・サムライ」を見る。西南の役の西郷隆盛がモデルになっているのは明らかだ。中学や高校で学んだ日本史では征韓論で大久保利通に敗れた西郷隆盛が西南の役を起こしたと習ったが、単なる権力闘争というよりも、むしろ、急速な近代化についていけない士族階級の不満を西郷隆盛が一身に背負って死んでいったという側面が強いようだ。映画では、西郷隆盛に象徴される武士道(=日本人の心)が近代化・工業化を進める明治国家に踏みにじられる悲劇として描かれている。また、南北戦争の悲劇を挿入することで新世界vs旧世界というテーマに普遍化している。ハリウッド映画がこれほど日本人の心を描けるとは驚きである。日本の映画人は悔しいのではないか。まだ、見ていない人にはお勧めである。

 

12月27日(土)

後援会ニュース新年号の袋詰めと発送作業を行う。約1800通出した。午前中で終る予定だったが、結局、夕方までかかった。年賀扱いなので、皆さんの手元には元旦に年賀状と一緒に届くことになる。ほっと一息ついて、ビデオの「ターミネーター3」を借りてきて見る。ターミネーター2では驚いたCGも目新しくないし、ストーリーも悪者の新型ターミネーターと善玉の旧型ターミネーターが戦うという前作と同じ構図でネタ切れという感じだ。マトリックスにしても、3作目はちょっと期待外れだった。封切りしたばかりの「ロード・オブ・ザ・リング」に期待したい。

 

12月26日(金)

福井市議会が、「元農林部長の自殺の原因は2市議の圧力の比重が圧倒的に大きい」とする百条委員会の調査結果を賛成多数で承認。また、証人喚問で虚偽の陳述をしたとして皆川修一市議(69)、浜田篤市議(55)をそれぞれ偽証の疑いで刑事告発する議案を賛成多数で可決した。一般的に言って、中央官庁よりも県庁、県庁よりも市町村役場と、住民との接触が密になるほど、役所の人事や予算に対する議員の介入が激しくなると言われている。今回の百条委員会の調査結果は、これまで半ば公然と囁かれていた福井市役所の実態を白日の下に晒した。唖然とするような話である。それにしても、一連の話を聞いて感じるのは、「一体、市長は何をしていたのか」ということである。いまの日本は、リーダーの地位にいる人がリーダーシップを発揮していない。不況が長引いているのも、リーダーがやるべきことをやっていないためだ。リーダー不況と言っても良い。こうした日本の悲劇はいつになったら解消されるのか。

 

12月25日(木)

クリスマス。僕にとっては福井県に戻ってきた記念日でもある。1997年12月25日にニューヨークから戻ってきたので、ちょうど満6年である。予想以上に浪人生活が長引いていて、このままだと働き盛りの40代のほとんどを選挙活動に費やすことになりそうだ。しかし、後悔しているわけではない。本当に役に立つ人間になるためには浪人生活も必要だったのだろうと考えている。夜、福井弁護士会の忘年会に出席。福井弁護士会の会合にも、ここしばらく、年に一回の忘年会に出席するだけになってしまっている。宴もたけなわとなったところで、今年、無罪判決を勝ち取った弁護士の方がご挨拶されるといっせいに拍手が起きた。その直後に、検事から弁護士に転じた方のご挨拶が面白かった。検事が集まる忘年会では、「有罪判決を勝ち取りました」というところで拍手が起きるのだという。立場が替われば、ものの見方も価値観も変わるものだと感じ入る。

 

12月24日(水)

後援会ニュース新年号のための原稿書きや年賀会で配布するリーフレットの作成作業に終始する。毎年、今頃から、翌年の政治活動のための弾込めを始める。もっと以前からやるべきなのだけれど、年が押し迫ってこないとアイデアが湧いてこない。何とか作業を終えて安堵する。

 

12月23日(火)

道路公団の民営化が決定された。「借金を減らすために無駄な道路を造らない」ための民営化のはずだったが、結局、「(当初の計画通り)道路を造るために借金を続ける」ことになり、民営化はずぶずぶになっているファミリー企業の高コスト体質を改善するためのだけのものになってしまった。中途半端な来年度政府予算案と合わせて見ると、小泉内閣の「聖域なき構造改革」が完全に破綻したと取られても仕様がない。では、なぜ、破綻したのか。結論から言うと、構造改革の理念そのものに問題があったのではないか。小泉内閣発足以来、小泉首相が唱える構造改革の中身が一体、何なのか見つめてきたが、小泉首相の頭の中には、要するに、財政投融資の無駄をなくすことしかないのではないかと思えてきた。財政投融資というのは、郵便貯金で集めたお金を使ってさまざまな投資をする仕組みで、道路公団を始めとする様々な特殊法人の資金源となっている。石油公団や道路公団などの各種特殊法人とこれら特殊法人につながるファミリー企業が無駄のかたまりであることは間違いなく、小泉首相はこうした無駄を生み出す財政投融資こそが諸悪の根源であると考えたのだろう。そこで、郵政事業を民営化してお金の入り口を止め、各種公団を民営化することでお金の出口をなくせばすべてうまくいくと考えた。しかし、道路公団の民営化などの議論を進めるうちに、財政投融資の無駄をなくすだけでは日本が抱える問題の根本的な解決にならないことがだんだん分かってきたのではないか。当たり前の話なのだが、一国を預かる総理大臣が今頃になってようやく気づいたのならば空恐ろしいことだ。今回、来年度予算案と道路公団の民営化案を見て、小泉首相に失望した人は多いはずだ。来年、政局が一挙に流動化する可能性は高いと言えよう。

 

12月22日(月)

夜、敦賀市で執行部会を開く。福井市ばかりで開くのは嶺南の方に申し訳ないということでかねてより懸案になっていたものだ。知事選が終わって7月に再開されてから6回目となる今年最後の執行部会。来年初頭にはこれまで通り、県内9ヶ所(7市に加えて坂井郡、南条町)で年賀会が開かれることになった。途中で空中分解しかけながら、よくぞここまで漕ぎ着けた。支持者の皆さんの熱いご支援の賜物である。執行部会を終えてから、皆で敦賀市名物のラーメンを食べに行った。仕事を終えてから、仲間と食べるラーメンの味は格別だった。

 

12月21日(日)

平成16年度の財務省原案が内示された。国の財政状態がこれほど悪かったのかと唖然とさせられる一方で、「聖域なき構造改革」については、一体、進んでいるのか、進んでいないのか、どうもよく分からない。公共事業費や地方への補助金・地方交付税が削減されているにもかかわらず、全体の歳出はわずかながら増えている。借金を減らすための構造改革であるはずなのに、国債発行は過去最高の36兆円である。何だかよく分からない予算案である。あまりにも巨大かつ複雑になり過ぎた予算作成プロセスが統御不能になっているという印象だ。夜、武生市で年賀会の打ち合わせをする。

 

12月20日(土)

朝、起きると一面の雪。日中はゆっくりして、夜、福井県でもっとも京都に近い名田庄村の流星館で開かれた「若狭地区ぶんどう後援会」の忘年会に出席。流星館は村営の温泉旅館である。名田庄村は星のきれいな「星降る里」であるところから流星館という名前がつけられた。忘年会が開かれたのは茅葺の民家をそのまま残した建物で、そこで名田庄村名物の「ぼたん鍋」(いのしし鍋)を食べた。選挙が終わった後もこうして大勢の方と親しくお付き合いできるのはとても有難い。感謝である。

 

12月19日(金)

小浜市に向かう。午後、小河さんと一緒に挨拶回り。夜、小河さんのお宅に泊まる。

 

12月18日(木)

午後、福井に戻る。夕方、えちぜん鉄道に乗って芦原町に行き、坂井郡の連絡会議に出席。

 

12月17日(水)

元ゴールドマンサックス投信社長の山崎養世(やまざきやすよ)さんにお会いする。山崎さんは、民主党のマニフェストの中の「高速道路を無料にする」という政策の発案者で、民主党の国土交通大臣候補となった方だ。道路公団の民営化が進められている中で、「高速道路の無料化」という提案は一見、荒唐無稽に聞こえるが、高速道路を無料化するというのは、「高速道路を含めた道路という社会インフラは、納税者である国民が無料で利用できる」という世界の常識を日本に持ち込むだけだと山崎さんは説明する。山崎さんの発想の根底には、大都市中心、工業中心の「国のかたち」を変えなければ日本は再生できないという信念があり、そのためには、地方を活性化させて地方を魅力的にすることで、大都市から人々を地方に向かわせるようにすることが必要だという点で完全に意見が一致した。日本が抱える問題点、21世紀のグランドデザインについて、会った瞬間からこれほど意見が一致するのは驚きであった。道路問題から農業問題、介護問題など話は尽きなかった。

 

12月16日(火)

午後から上京する。夜、友人たちと御茶ノ水で夕食。行く先々のレストランがいずれも満員で入れず驚く。東京は景気が回復しているということなのか。それとも、単に忘年会シーズンにぶつかっているだけなのか。東京の友人たちは地方が深刻な不況に喘いでいるということがぴんと来ないようだ。

 

12月15日(月)

大手のホームセンター、コメリが鯖江市の8号線沿いに鯖江店をオープンするそうだ。県内各市の中心市街地空洞化が懸念される中で、大型郊外店の建設ラッシュが続いているのはどういうことなのか。県議会の議論を見ていると、「(基本的には市町村の責任だが、)二次的に大型店の立地を抑制することはあり得る」(横田産業労働部長)、「福井市の市街化区域は増やす方向にない」(笠松土木部長)と及び腰で、県がこの問題に積極的に取り組む姿勢は窺えない。わずかに、福井市都市計画審議会が市街化調整区域の規制強化を求めているのが救いである。世の中の流れは規制緩和だが、中心市街地の空洞化を食い止めるには土地利用に関する規制強化が必要である。経済効率性を優先する市場原理に待ったをかける街づくりの理念が求められている。

 

12月14日(日)

フセイン元大統領が拘束された。記者会見したブレマー行政官の第一声「皆さん、彼をつかまえました」("Ladies and gentlemen, we got him.")は誰にでも分かる直截な名言で歴史に残るだろう。フセイン元大統領の拘束でイラク情勢が転換点を迎えることは間違いない。今後、予想されるシナリオとしては、フセイン元大統領を裁判にかけ、フセイン独裁体制の残虐非道ぶりを徹底的に宣伝して、「だから、フセイン体制を倒したイラク戦争には大義があった」とイラク戦争を正当化していくものと推測する。東京裁判を見ても、中国の四人組裁判を見ても、政権を転覆した側がやることはいつも同じである。フセイン元大統領をどのような形で裁くのか、また、その法的根拠を何に求めるのか、東京裁判とは一体何だったのかを考えるうえでも注目していきたい。

 

12月13日(土)

夜、ビデオの「ゾルゲ」を借りてきて見る。日本史で「尾崎・ゾルゲ事件」と習った国際スパイ事件を扱ったものだ。今まで何のことか分からなかったが、ビデオを見てようやく事件の概要が分かった。スターリン下のソ連に日本の機密情報を流した尾崎秀実、リヒアルト・ゾルゲを単に極悪人に仕立て上げるのでなく、共産主義に取りつかれて歴史を変えようとした理想主義者として描いている。

 

12月12日(金)

恒例の年忘れ会を福井市内のチョップで開く。年忘れ会も今年で5年目。約100人お見えになった。これまでと違って、お互い顔見知りになっている人が増えているので、場の雰囲気が自然に盛り上がり、主催者側もともに楽しめる。やはり、継続は力である。二次会もそれぞれのグループで行われたようだ。朝の3時頃、自宅に戻る。

 

12月11日(木)

午前中、武生市。午後、大野市。夜は南条町と動き回る。師走になると途端に慌しくなって、皆、一斉に走り出す。しかし、景気の方は冷え込んだままだ。尤も、日本全体では景気が上向きだという。中国経済の急成長に引っ張られて、鉄鋼や建設機械などの中国向け輸出が好調らしい。国際競争力のある大企業とグローバル化の波に直撃されている地方の中小零細企業の格差がどんどん広がっている気がする。グローバル化の中で、地域経済をどうやって活性化するか。自らの政治課題として真剣に取り組んでいきたい。

 

12月10日(水)

夜、福井市日之出公民館で第11回「ぶんどう塾」を開く。NPOの「ふくい路面電車とまちづくりの会」(ROBAの会)の内田桂嗣さんに公共交通とまちづくりをどう結びつけるかについて話していただいた。現在、福井市では、えちぜん鉄道の福井駅乗り入れをめぐって、高架にするか、地上にするかで大議論が起きている。しかし、内田さんによれば、高架にするか、地上にするかという議論の前提として、福井市をどんな街にしたいか、その街づくりの中でえちぜん鉄道を含めた公共交通をどう位置づけるかという議論が大事だという。採算の合わない公共交通はいらないのか、これまで通り車を中心とした街づくりで良いのか、市民一人ひとりが自分の問題として考えるべきだと訴える。街づくりには様々な問題があり、路面電車とバスだけでは街を活性化することはできない。しかし、同様に、どんな街に住みたいかというビジョンを抜きにして公共交通の問題を考えることもできないということであった。

 

12月9日(火)

小泉内閣が自衛隊のイラク派遣を決定した。自衛隊派遣の目的について、小泉首相は記者会見で日米同盟と国際協調の2つを挙げている。あえて憲法の前文を読み上げたのは、国際協調の側面を強調したかったのだろう。しかし、実際には、本当に国際協調なのかという疑問があり、やむなく日米同盟に引きずられてという印象が強い。この問題の根底には、イラク戦争には大義がなかったという根本的な問題がある。すると、その後のイラク復興支援も大義がないではないかということになり、「たとえ、アメリカが間違っていても、日本はアメリカについて行かざるを得ない」という日米同盟の本音だけが浮き彫りにされてしまう。この問題を解決するには、たとえ、イラク戦争に大義がなかったとしても、イラク復興支援には大義があるという国際環境を作るしかない。言わば、まだ、形だけの国際協調を実質的なものにしていくことが必要だ。具体的には、イラク戦争に反対したフランス、ドイツ、ロシア、中国や穏健派の中東諸国をイラク復興支援に巻き込むとともに、国連の関与も深めていくというウルトラCの外交努力が必要になってくる。「賽は投げられた」のだから、何とか決断を成功させてほしい。

 

12月8日(月)

真珠湾(パールハーバー)攻撃の日。週末にアメリカ留学仲間の同窓会に出席したこともあって、当時のことを思い出した。アメリカに着いてから約半年、最初はチンプンカンプンだったラジオの英語がようやく分かるようになった頃だ。12月8日になったら真珠湾攻撃のことを言われるに違いないからどう答えようかと高校生なりに真剣に悩んでいた。ところが、前日の12月7日にクラスメートに「今日、何の日か知ってる?真珠湾攻撃の日だよ」と言われて驚いた。日付変更線を越えるので、真珠湾攻撃はハワイでは12月7日に行われたのである。結局、クラスメートとは日付の違いのことばかり話して事なきを得た。31年前の話だ。

 

12月7日(日)

東京から福井に戻る。帰りの新幹線の中で見た富士山が素晴らしかった。真っ青の空を背景に雪をいただく富士山で、いままで見た中で最も美しかった。車中の人は皆、見とれていた。うっとりしながら見とれている表情を見ていると、「日本人で良かった」と内心でつぶやいている声が聞こえるようだった。

 

12月6日(土)

高校時代のアメリカ留学仲間が30周年同窓会を開くというので急遽、上京した。急遽というのは、僕の連絡先が判らず、2、3日前に突然、連絡が入ったためだ。100名中、30名が参加。この同窓会に出席するために遠くアトランタから飛んできた人もいた。髪が白くなったり、薄くなったりしていて、「皆、老けたな」というのが正直な感想。尤も、自分も同じように見られているのは間違いない。夢と希望に燃えていたあの頃に比べると、皆、少々くたびれている。「少年老い易く学成り難し」という言葉が身にしみる年齢になった。

 

12月5日(金)

本日付の京都新聞に元通産省官僚で評論家の八幡和郎さんが来年の1月後半に予定される大津市長選挙に立候補の意向を固めたと報道されている。今年9月にお会いしたときに、大津市長選挙の話をされていた。八幡さんのようなスーパーマンがいつまでも埋もれているのはもったいない。ぜひとも、当選して市長になってもらいたい。

 

12月4日(木)

報恩講の檀家回りをした後、鯖江市の実家で母と過ごす。父が亡くなってから、もう2年以上もたった。しかし、実家に帰ると、相変わらず父の存在を感じる。父は母の周りから離れないようだ。

 

12月3日(水)

来年夏の参院選挙で、旧自治省の立候補者のために「総務省を挙げて全力でがんばりたい」と述べた麻生太郎総務相の発言が問題になっている。失言が多いことで知られる麻生太郎氏がまた失言したと報じられているが、同時に、役所ぐるみで選挙をするのが当たり前になっている総務省(旧自治省)の体質がそのまま出たとも言える。総務省というのは、地方自治や選挙事務を所管する役所で、全国の都道府県や市町村の総元締め的な存在でもある。全国の約3分の1の知事が総務省出身であるということだけでも、どれだけ、大きな力を総務省が持っているかが分かるだろう。福井県では、栗田前知事や西川現知事が総務省出身だ。その総務省が半ば公然と役所ぐるみで選挙をしているのだから、日本全国、県庁や市町村が役所ぐるみで選挙をするのが当たり前になってしまっている。実は、今回の発言が飛び出したとき、あまりにも非常識が常識になっているいまの日本社会では問題にもされないのではないかと恐れていたが、「失言」として責任を追及されだしたのでほっとしている。

 

12月2日(火)

クウェートに到着した、殺害された2外交官の遺族の様子を見ていたら、遺族に混じって空港に降り立つ在中国大使館の宮家邦彦公使の姿があった。宮家公使は僕の同期でアラビストだ。イラン・イラク戦争当時のイラクに勤務した経験がある。在米大使館での勤務経験もあり、米国とのパイプも太い。「この難局を乗り切れるのは、宮家しかいないなぁ」と思っていたら、案の定、白羽の矢が立った模様だ。宮家公使が本省で安全保障課長をしている頃、福井県に講演で来てもらったこともある。「宮家ならやってくれる」と思うと同時に、友人が危険に晒されるのかと思うと心が痛む。「大変だろうけれど、頑張ってくれ。そして、何とか無事でいてくれ。今度、福井に来たときは、おいしい蟹をご馳走するよ」。そんな気持ちだ。

 

12月1日(月)

11月に行われた衆議院選挙の際の選挙違反が相次いで摘発されている。岐阜1区で落選した民主党の浅野実さんが逮捕されたのに続いて、静岡7区で落選した保守新党の熊谷弘さんの元秘書が逮捕された。いずれも落選者で自民党ではない。落選すると選挙違反を問われても、当選するとよほどのことがない限り選挙違反を問われない。また、落選しても、自民党ならばあまり選挙違反を問われない。要するに、「勝てば官軍」ということだが、これが半ば当たり前のこととして日本社会に受け入れられているのは恐ろしいことだ。つまり、本来、「個人の人権や契約を守るための自分たちの法」が、「政権が自分たちにとって都合の良い秩序を守るための法」になってしまっている。警察の役割は法を執行することだが、そこには広範な裁量権が与えられている。その裁量権の行使の仕方次第で、日本は「法治国家」にも「人治国家」にもなる。いまの日本社会を見ていると、「これが本当に法治国家なのかな」と首を傾げたくなることがある。所詮、儒教文化圏なのだから仕方ないと諦めることもできるが、お上が怖くて皆、萎縮してしまっては、社会は活性化しない。法は一体誰のためにあるのか、時には立ち止まって考えてみたい。


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